本日は『最近観た映画』についてです。
観ずに貯まっていたDVDがようやくあとわずかになったこともあり、観たいのに我慢していた作品をレンタルで10本ほど借りました。
どれも満足のいく作品ばかりで、しばらく映画を観なくて良いと思う位にお腹いっぱいになりました。いや今も観てるんですけど。
そんなわけで今回の記事を書き始めましたところ、1本1本の感想が長くなってしまい今回はその内の5本だけ書きます。
以下の作品を観ました。
『ミラクル7号』
『ブラッド・シンプル/ザ・スリラー』
『クローバー・フィールド』
『新世紀Mr.Boo!』
『ホット・ファズ』
『ミラクル7号』・・・ようやく本作を観ました。『少林サッカー』『カンフー・ハッスル』に続くと来れば、今度もアクション重視のナンセンス・コメディかという予想を裏切って、まさかのキッズ・ムービー。ですがワタシは非常に楽しめました。演出のこだわり様や過去の作品のセルフ・パロディ等マニアックな楽しみもありますが、今までのどこか人を突き放した感じのする作風からは知ることのできなかったチャウ・シンチーの子供へのストレートな愛情が伺えたことが嬉しくてラスト・シーンは恥ずかしながらウルウルしてしまいました。小さくまとまったストーリーを、予算を掛けて撮れるのは流石シンチーです。繰り返し観て楽しむことのできる作品だと思います。
『ブラッド・シンプル/ザ・スリラー』・・・20代の頃、最も好きな監督の一人(二人?)にコーエン兄弟がいました。本作もその頃に2回オリジナルを観たのですが、画像が荒かったことと、見つめ合う主人公とヒロインの間に新聞が飛んでくるカットしか印象に残ってませんでした。思えばコーエン兄弟の作品はいつもそうです。観ている間はその演出の見事さに圧倒されるのですが、どんな話だったか思い出せないのです。いずれにしても『ブラッド・シンプル』は、ワタシの中ではあまり評価していませんでした。
ところが。今回『ザ・スリラー』を観たらビックリしたのがまず画像。作品の印象が変わってしまうくらいクリアです。そしてワタシ自身がトシを取って作品の良さを理解できるようになったのか、全編演出といい、脚本といい、その見事さに酔いしれました。久しぶりに「映画」を観た気がします。「傑作」と即、評価を変更しました。DVDの特典もオリジナルとの相違点検証や、コーエン兄弟へのインタビュー、より本作を楽しめるウンチクと、充実してます。
『クローバー・フィールド』・・・怪獣映画を、逃げ惑う一般市民の視点から描いてますが、これが非常にスリルがあって良いのです。スピルバーグの『宇宙戦争』を思い出しました。本作も『宇宙戦争』も評価が二分するようで、ワタシの周囲にもこの2作を絶賛する人はいません。けれどワタシはとても面白かったです。
主人公の転勤先が日本だったりエンドロールで流れる音楽がゴジラの伊福部マーチに似ていたりと、日本の怪獣映画へのリスペクトが伺えます。それでいて本編では一切音楽が流れないのがリアルで緊張感があります。
登場人物が持つビデオカメラの映像という設定で物語が進むのですが、素人がカメラをただ振り回しているようで必要な情報をちゃんと入れている演出にワタシはピカソの絵を思い出してました。基本が出来てないと定型を崩した表現をしても下手なだけ、ということです。このアイデアを具現化するには相当な周到さが必要だったと思います。
ただ予定調和を拒否するあまりに、観客が求める最低限のものまで拒否してしまったラストだけは、やりすぎかと。
『新世紀Mr.BOO!』・・・往年の『Mr.BOO!』シリーズに敬意を払った作劇が素晴らしい。キャストも香港映画通なら喜ぶ豪華さで、尚且つ揃ってハジけた演技で楽しい。元祖のマイケル・ホイも特別出演でオリジナルの作品群を観返したくなりました。DVDの映像特典では香港の人でなければ分からない、モンスターやハリー・ポッター似のヒロインの元ネタも明らかになり、本作は「1970年前後の香港へのノスタルジー」が裏テーマと分り、より深く本作を理解できました。ただ劇中、登場人物がブルース・リーのマネをする描写がありますが、舞台の1969年はブルース・リーがまだ有名になっていない頃じゃないでしょうか?
今回広東語で観たのですが鑑賞後、日本語吹替バージョンは主人公とホイを故・広川太一郎さんが吹替られていると判明。こ、これはもう一度観んばならんでしょう。
『ホット・ファズ』・・・前作『ショーン・オブ・ザ・デッド』が非常に面白かったため、これも観たくて仕方がなかった1本。アクション映画へのオマージュを捧げつつ、1本のコメディ映画として成立させた手腕がお見事。ジョン・ウー作品をはじめとするガン・アクション映画のようなアクション・シーンでも笑いを絶妙にブレンドする手腕は感嘆もの。しかも『ウィッカーマン』(オリジナル版しか観てません)を思わせる街で起こる事件の驚天動地の真相には大笑いしました。エドガー・ライト監督作に外れなし!
いやぁ、ホントに豊作でした。
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M氏から借りていた『牙狼-GARO-』を先日観終えました。
オンエアから数年の時が経っている作品ですが、全く見劣りがしません。こんなにクオリティの高い特撮番組は観たことがありません。あったら教えて下さいませ。
内容を簡単に乱暴に書いてしまいますと、ホラーという人間のネガティブな感情を好む魔を倒す魔戒騎士GAROの活躍を描いた作品ということになるでしょうか。
動きにくそうな牙狼の鎧も格闘シーンは動きに制約のないCG主体とあってスピーディーですし、1話30分という短さゆえかストーリーもテンポ良く進み(時として展開が強引な時もありますが)ストレスがありません。
大抵のドラマは最初の3話位までが見せ場の多い展開があるのですが、その後は大筋とは関係のない単発的な話が入るのが定石です。
ところが本作は毎回趣向の違う敵に(2話で早くも人型でない敵が出てきたり、3話か4話で新技が出たり)、大きな流れに関係のあるエピソードが絡んで新たな展開が毎回あり、しかもゲスト俳優が豪華と全く飽きることがありません。
ヒロインが大変な目に遭ってるのに、次のシーンではケロッとしていたりとキャラクターの感情の流れが後半までよく掴めないところはあったりしますが、後半の主人公との恋愛感情のような深い信頼感が伺える展開や、主人公の一見冷酷非情な性格から徐々に人間的な感情が開放されていく様子は感情移入が出来ます。
雨宮慶太監督独特の、東映特撮番組のキャラをギーガーがデザインしたようなキャラ造形も見事です。
その昔、雨宮監督作の『ゼイラム』を観ましたが「予算がなくてもやりたいことをやる」という心意気が全編に溢れる快作でした。レンタルビデオで観て、あまりに面白かったのでそのままもう1回巻き戻して観た程です。あれから十数年経っていますで、今観るとどうかは分かりませんですが・・・。その後何作か監督作を観ましたが、ワタシの脳内には監督としてよりも「雨宮慶太=デザインが無茶苦茶カッコ良い人」として刻まれました。
『GARO』を観て、今回は監督としてもその名がワタシの脳内に刻まれました。
アクション・シーンのレベルの高さも特筆ものでしょう。
まだ続編の『白夜の魔獣』が未見ですので近々観るつもりですが、本作よりも今はパチスロの方が有名なようで、このブームに乗じて更なる続編製作を待望します。
過去にIsara Fansite上で魔導輪ザルバとシルヴァを当時はよく知らずに「台座衛門」「オシシ仮面」とかテキトーなことを書いてしまってますが、本作を観てしっかり名前を覚えました。すいませんでした。ボケとしては気に入ってるんですけど。
今回は本数少なめですが、この期間は『GARO』を観ていることが多かったのでした。
先日は自宅にある貯まった映画をほぼ(全部ではない)観終えた為、DVDを借りました。出来るものなら20本くらい一度に借りたいものです。
『ワルボロ』
『パープル・ストーム』
『ニューヨーク1997』
『アダルト・スクール』
『ドラゴン・プロジェクト』
『プロジェクト・イーグル』
『ワルボロ』・・・80年代に中高生時代を過ごした者にとっては、当時一大ブームを巻き起こした『ビー・バップ・ハイスクール』シリーズは思い入れのある作品です。本作は久々に『ビー・バップ』以来の不良少年が主人公の娯楽映画を観た気がして溜飲が下がりました。
俳優陣がキャラを活き活きと演じ、あの頃特有の「エネルギーが有り余り過ぎる割には経験値の少なさゆえに迷い、身を持て余す」様子が実に共感できるように描かれてます。仲村トオルさんの出演は『ビー・バップ』へのリスペクトでしょうか。仲間意識、逃げずに相手と対峙すること、自分の弱さを認めてその先へと行こうとする姿勢、果てのラストのカタルシス。同時期公開だった『クローズ』より気に入りました。
『パープル・ストーム』・・・観る前は「良くも悪くも香港映画」的作品だと思ってました。その予想は外れてはいませんでしたが、どこか韓国映画の『シュリ』を思わせるものの、場面展開が早く先の読めないストーリーとハードな香港アクションの連続で中々の快作に。ただ物語を牽引するのが、若きテロリストなのか、テロ対策班のリーダーなのか分かりづらくクライマックスに至って「あぁこんな話だったんだ」と分かる作りはもしかして行き当たりばったりの撮影の賜物?
『ニューヨーク1997』・・・かれこれ20年位前に観て面白かった記憶だけが残り、内容を全く忘れているので再鑑賞。ところが途中、あろうことか寝てしまったからにして、序盤とラストのみ観ました。スネーク・プリスキンのキャラ設定のカッコよさと、そのキャラがもたらすラストのカッコよさは途中居眠りしてても分かります!説得力に欠けますけど!
『アダルト・スクール』・・・「男はいい歳こいても中身は子供である」というテーマが共感しつつ大笑い。2年前に初めて観ましたが近作でウィル・フェレルが好きになりました。ご都合主義な場面も多々ありますが、それも能天気に笑うため目をつぶりましょう。今回初めて観たDVD特典映像の「アクターズ・スタジオ・インタビュー」のパロディには大笑いでした。
『ドラゴン・プロジェクト』・・・前作『エンター・ザ・フェニックス』で若くして非凡の才を見せた監督・出演のスティーブ・フォンの監督出演2作目はアクション度が増して、より楽しめます。もっと大きな予算で演出に特化したら更に面白い作品が出来る可能性大と見ました。この人、アクションは出来ているのですが、体が若干硬い感じがします。
『プロジェクト・イーグル』・・・学生時代、バイト代で念願のレーザーディスク・プレーヤーを中古で購入した際、最初に買ったソフトが本作でした。10年振り位に観直しましたが、序盤の珍しい小道具を使った描写やテンポ良いアクションが前作『サンダー・アーム』と比べて格段に進歩してます。クライマックスの「僕はアジアのスーパーマン!」というセリフ(DVDでは「スーパーマン!」とだけ言ってます。)にはジャッキー様を長らく応援する身としては観るたびに胸のすく思いがします。
但し中盤のサハラ砂漠のシーンは冗漫で長く、あそこをカットするとタイトな仕上がりになるのに、と思ったのは当時観たときと一緒の感想でしたが、巷でチラホラ聞かれる「ジャッキー様は映画で女優にセクハラをしている」説は今回本作を観て初めて納得しました。この観点からジャッキー様の作品を観直すと違った印象になるのかも知れません。
以上、今回は全部感想書きました!
ある夕刻、自宅へと車を走らせていました。
カーラジオからDJがクリス・ペプラー似の独特の低い声でリスナーからのお便りをシブく紹介しています。
DJヒョロ太 「さて、次のメールを紹介しようか・・・こちらは新潟市の・・・爆裂自爆野郎さんから。
『ヒョロ太さん、おつかです。』ハイ、おつかー。『今オレ凄く『キャノン・ボール』が観たいんすよ。あれってDVD出てるのかな?』・・・あー『キャノン・ボール』ね。アレでしょ。ジャッキーの出てるヤツ。あれDVD出てるかなぁー。」
ワタシ 「出てるよ。」
DJ 「アレ、もしかしたら出て無いかもな。VHSだったらあると、思うよ。」
ワタシ 「いや出てますって。レンタルだと置いてないとこあるかもしれないけど。」
DJ 「『キャノン・ボール』かぁ・・・オレも観たな・・・アレですよね、ジャッキーと・・・アレ。あの俳優が出てんだよ・・・あー名前ド忘れしちゃった。」
ワタシ 「マイケル・ホイ。」
DJ 「あー思い出せない。・・・あのホラ、よくジャッキーと一緒によく出てた・・・」
ワタシ 「マイケル・ホイはよく一緒に出てないよ!『プロジェクトBB』まで再共演してないから。」
DJ 「あのホラ・・・サモ・ハンと・・・」
ワタシ 「サモ・ハンは『キャノン・ボール』に出てないって!」
DJ 「・・・・思いだした!ユン・ピョウだ!!ユン・ピョウ、ユン・ピョウ。いやぁ昔観たよ。」
ワタシ 「(?)いやユン・ピョウも出てないよ『キャノン・ボール』には。」
DJ 「それでジャッキーがユン・ピョウと戦うんだよ。ジャッキー、ローラースケート履いたりしてたね。」
ワタシ 「それ『五福星』じゃんっ!!」
今この瞬間に、こうしてラジオにツッコんでいるのは県内でワタシだけのような気がしました。
P.S. ジャッキー様、このところのご発言が色々問題らしいですが、お作りになる映画は無問題です。
先週末『レッド・クリフ PARTⅡ』を観に行きました。
今回はメインディッシュの『赤壁の戦い』がガッツリ描かれるとあって、PARTⅠ以上の面白さを期待して映画館へと向かいました。
土曜の午後の映画館は人でごった返してます。不景気がウソのようです。
『レッド・クリフ』のチケットを求めるお客さんも結構いましたが、どうも『クローズZEROⅡ』(観たい・・・)目当ての学生が多いようです。
その『クローズZEROⅡ』の宣材で出演者たちの等身大のポップが映画館の入口に立っていたのですが、その前でおじさんが人を待っているのか一人立っていました。
ポケットに手を突っ込んで立つ姿は、後ろの『クローズ』のキャラ達と溶け込んでおじさんが出演者のようでした。笑いました。多分、鈴蘭高校を45年位留年しているオオサンショウウオのようなキャラだと思います。
オジさんが面白すぎて、『レッド・クリフ』は見劣りした感じでした。
一番面白かった部分は前作のあらすじでした。
前作では孔明が目をまんまるくしたり細めたりしているだけの愚者に見えなくもなかったのですが、今回は「3日で10万本の矢を調達」のエピソード等で前作よりも頭が良く見えます。一人で草原に立って自分が風を起こしているかのように羽の扇を振る孔明は、何ともハッタリ満点いかさまチックでワタシは家に帰ってからマネをしました。
前作で仕事の出来ない人の良い中間管理職状態だった劉備も終盤までは、腰抜け三昧。
横山光輝版『三国志』に慣れ親しんだワタシにとっては、加齢臭漂う本作の劉備が許せません。終盤は取ってつけたような活躍をしますが、『三国志演義』では劉備たち蜀軍は赤壁の戦いでは戦っていないそうで、これはジョン・ウー監督の『妄想三国志』なのだと悟りました。
クライマックスは三国志版『プライベート・ライアン』のような趣で、アリの巣をバーナーで焼くような大狂乱。
バタバタと人が死んでいく様には爽快感はありません。
しかしその後、これぞジョン・ウー版三国志ともいうべきマニア大喜びの展開が待っているから侮れません。
前作併せ5時間ほどの『レッド・クリフ』。切ってもいいような本筋と無関係のシーンも多く、その辺を再編集すれば4時間位の上映時間で済みそうです。
しかし三国志映画史上嘗てないスケールと侠気で描かれた本作はイベント映画としては上々の出来ではないでしょうか。
そうして上映が終わり出口へと向かったワタシ。
階段を降りて出口へと続く通路の脇に立っていたのは・・・
さっきのクローズおじさん!?
『レッド・クリフ』観てたんだ・・・『クローズ』じゃなく。
そう思うと陶然と立ったその姿は諸葛孔明に見えなくも・・・いや見えなかった。