中学生にもなると、少しはアダルティーな世界に興味を持ち出してきます。
音楽もしかり。テレビの前にラジカセを置いて 「声出さないでね!」と『ベストテン』や『歌のトップテン』を観つつ録音しては歌謡曲を覚えた小学時代とは違い、『ベストヒットUSA』を隣の部屋で寝ている家族を起こさないよう、ボリュームに細心の注意を払いながら洋楽をチェックするようになるわけです。あ、これは20年以上前の話です。
そんな中学時代、ワタシも仲間と一緒に洋楽に少しは興味を持って聴くようになっていたのですが、2800円のLPを買う程の熱はなく(当時はレコードでした)、専ら友人からカセットテープを借りてダビングさせて貰っていました。ワム、シンディー・ローパー、シーナ・イーストン。聴き巧者の友人にもまだめぐり逢っておらず、友人から貸してもらえるものを聴いていた、そんな時代でした。
当時、もっともよく聴いていたワムの『メイク・イット・ビッグ』を貸してくれた、当時近所に住んでいたYという幼馴染がいました。
Yもさして洋楽に詳しくは無かったのですが、二人で遊ぶときは知識の無いもの同士で分かったような洋楽談義に花を咲かせていたのです。
多分その内容の全てを覚えていたら、爆笑モノのネタが何本も出来たに違いありません。それ位、的を見事に外した会話内容だったと思います。
そのYとある時、こんな話をしました。
Y 「プリンスっているじゃん?結構いいらしいよ。オレ今度カセット買おうと思ってるんだ。
それでさ、『プリンセス』っていうのもいるらしいよ。アメリカで大ヒットしてるんだって。」
ワタシ 「ふーん、そうなんだ。プリンセスか。それってプリンスの奥さんなの?」
Y 「なんか違うみたい。でもプリンセスっていうのがいるんだよ。今度聴いてみるわ。」
・・・もうこの時点で、バカ全開フルスロットルなのですが、当時プリンスも聴いたこと無いワタシはプリンセスという名だけを記憶に刻みました。
そして1年ほど。
一向に「プリンセス」という名のアーティストの情報は入って来ず、レコード屋にもレコードは置いてない。ハテ、どうしたものかと思っていました。浮き沈みの早い芸能界、彗星のごとく消えてしまったのだろうか。しかしその痕跡すら残っていないというのはおかしい・・・。
ある日、ハタと気がつきました。
学校でYに会った際に自分の推理が正しいか、投げかけてみました。
ワタシ 「あのさぁ、前にプリンセスってアーティストがいるって言ってたじゃん?あれマドンナの間違いじゃないの?」
Y 「それだ。」
ジョージ・ハリソンの「SET ON YOU」みたいにYは親指を立て、人差し指でワタシを指差しました。
ワタシはYに 「ふざけんな~!一年悩んだんだぞ!」とヘッドロックをかますのでした。
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