先日、遅まきながら映画『ザ・シューター/極大射程』をDVDで観ました。
この原作をかなり前に読んだのですが、その年に読んだ小説の中で一番面白かったのがこの『極大射程』だったことを覚えています。
当時、週に1・2冊小説を読んでました(今ではもう、枕元で2ページも読むと夢の国へ旅立ってしまいますが・・・)が、ページをめくるのがもどかしい、けれど読み終えてしまうのがもったいない、と感じる小説は年に1冊出会えるかどうかでした。『極大射程』はまさにそんな小説でした。
余談ですが、原作者のS・ハンターの小説はどれも面白く(あくまでワタシが読んだ作品は、ですが)、特に『真夜中のデッド・リミット』は映画向けのストーリーで、『極大射程』に比肩する読み出したら止められなかった傑作です。
で『ザ・シューター』。
殺しとサバイバルのテクニックに長けた主人公が行動することによって話が転がって謎が明らかになっていく、いわゆるハードボイルドの手法で、その辺は『ジェイソン・ボーン・シリーズ』に良く似てます。多分『ボーン・――』のヒットが無ければ『ザ・シューター』はこのような硬質の作品にはなりえなかったでしょう。そう考えると『ボーン・――』の功績は大きいです。
主人公は私のイメージでは『プラトーン』の頃のトム・べレンジャーか、ビリー・ボブ・ソーントン辺りでした。ですが、主演のマーク・ウォルバーグはイメージを大きく損なうことなく、ストイックなキャラクターを演じきっています。
一つだけ引っかかったのは、彼の歩き方。
『フォー・ブラザーズ』での極悪兄貴の役のとき「元ラッパーだけあって、歩き方まで上手く役作りしてるなぁ」と感心したものですが、本作でも肩を揺らせながら鷹揚に歩く様を観て、単にこの人のクセなんだと分かりました。
凄腕のスナイパーには似つかわしくない歩き方に思えました。
脚本は文庫で上下巻の長さの原作を無理やり詰め込んだダイジェスト版のようにならず、それでいて現代的なエッセンスを盛り込んで飽きさせない仕上がりになってます。
未見の方のため詳しくは書きませんが、ラストは原作と違い、安易な展開をつけたしているのがワタシ的には少し残念でした。
とはいえ、今年観た映画で最初の大当たり。
これを超える映画に今年は何本出会えるか楽しみです。
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