以前ワタシが仕官していた職場の敷地には、つがいのカラスがいました。
その敷地で工場が建つ前から暮らしてきたのか、既得権を主張するかのように傍若無人な振る舞いをしていました。
「カラスは雑食」と世間で言われる通り、新築である工場正面の自動ドアの縁に注入されているゴムを食ったり、社員が通勤に乗ってくる自家用車に使われているフロントガラスやドアの縁に貼ってあるゴムを食ったりと、ゴムが好物でした。それも新しいゴムが。
かくいうワタシの愛車も購入したばかりの頃にドア部のゴムを食われ、未だにドアを開けると虫歯のように欠けたゴムの形が確認できます。
当時同じように、買ったばかりの愛車で意気揚揚と出社し、帰りにはフロントガラス周りのゴムを食われた社員が「通勤上の災害として会社が補償してくれないんですか!?」と訴えてきたこともありましたが、「オレも食われたんだよ!!」と諭して丸く収めました。
そんなカラスたち、毎朝会社に来ると正面玄関前で自動ドアのゴムをつつくのが日課でした。
ある日、出社して玄関前の駐車場に車を停めると、運転席からもうカラスたちが玄関先でたむろしているのが見えました。
カラスたちがたむろすると自動ドアのゴムだけでなく糞の被害もあり、ワタシは毎朝玄関を掃除していたので非常に迷惑してました。
堪忍袋の緒が切れたワタシ、その日は我慢できずに「シッ!!」と脅して追い払ったのでした。
即座にカラスたちは飛び立ちましたが、数十メートル離れた敷地内の桜の枝に止まり、こちらを見ています。今後はワタシの顔を見ると逃げて行くかも知れないなぁ、などと思いました。
それから数時間後。
業務で外出することになり、社屋を出て駐車場に停めた自分の車へと向かいました(この職場には社用車がなく、自分の車で外出して後にガソリン代を清算するシステムでした)。
ところが遠目からも何か車がおかしいのです。
(続く)
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