先日DVDで『ファースト・ミッション』を20年振り位に観ました。
初見は劇場で。同時上映が早見優さん主演の『KIDS』という映画でした。
冒頭、「♪チャイナ、チャイナ~」とジャッキー様が歌う『チャイナ・ブルー』のイントロが流れるだけで、懐かしさ無限大。当時レコード持ってましたよ。
いつもの勧善懲悪ストーリーに知的障害の兄(サモ・ハン)と刑事の弟(ジャッキー様)との兄弟愛を絡ませる変則技。この時期確かジャッキー様は『七福星』『ポリス・ストーリー』と3本掛け持ちで撮影のため憔悴して、当時の映画雑誌の写真は頬がこけていた事を思い出します。当時はワーカホリックという程度に理解してましたが、今回開巻直後、『出品人 王羽』(製作:ジミー・ウォング)の表記で事情を一方的に推察しました。サモ・ハンもジャッキー様も出ないわけにはいかなかったのではないでしょうか・・・。
推察するに『七福星』はサモ・ハンの、『ポリス―』はジャッキー様の制作会社がそれぞれ製作していて、それぞれ旧正月か夏休みの観客動員が見込める時期の公開に向けて製作時をずらすことは出来ず、そこにしがらみもあっての『ファースト・ミッション』の撮影と、全てがカチ合っていたのではないでしょうか。
このハードスケジュールのまま突っ走ったジャッキー様は『サンダーアーム』撮影時に頭蓋骨骨折の大事故に見舞われるというのは余談です。
しかし本作、意外なことに今観てもそんなに悪くないのです。
最近見直した『バトル・クリーク・ブロー』『サンダー・アーム』は正直ドラマ部分でダレて冗漫な印象を受けました。
本作は兄弟愛を描くために主に知的障害の兄が受けるいじめのエピソードが結構描かれるのですが、こちらはさほど冗漫な感じはしません。但し、これらのエピソードは短絡的且つ俗物的な発想で、デリケートなテーマをこのように描けるのは時代と勢いのなせる業かと思いました。
スタントは当時の80年代香港映画が持つ「人の命よりも映画の完成」的思想に溢れ、命を粗末に扱うドキュメント的側面も持ち合わせて2重の意味でスリリング。
そして驚いたのはサモ・ハンのアクション演出・編集が、現代でも十分な魅力を持っていることです。
ジャッキー様演出とは違ったダイナミックな構図とカメラの移動・編集はアクション・シーンだけで見直したくなります。
流麗な銃器の扱いも当時としてはリアルな描写で新鮮でした。
武術指導はユン・ピョウ。ジャッキー様監督作より、殺陣のバイオレンス度が高いのは、悲しげなラストを含めユン・ピョウというよりも製作のジミー・ウォングの色が濃いのでしょうか。ファンとしてはユン・ピョウにも是非出演してもらいたかったところです。
とここまで書いていて、この『ファースト・ミッション』に感じていたいくつかの事項・疑問が勝手な深読みの推測によって氷解してきました。
(続く)
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