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2025/03/16 21:39 |
久々の読書的興奮 『刑務所の王』
いや面白かった!
昨年古本屋で買った(この時の事はブログで書きました)井口俊英『刑務所の王』を今更ながら読了しました。
久方ぶりに本を読む喜びを満喫しました。
 
著者はワタシもおぼろげに覚えている大和銀行の不正取引事件の当事者(その顛末を書いた処女作『告白』も是非読みたい!)。
有罪となりアメリカの拘置所で刑期を務めることになったのですが、そこで出会ったのがアメリカの刑務所最大のギャング組織『アーリアン・ブラザーフッド』の創始者であるジョージ・ハープ。著者はハープと親交を深め、本人の許可を得て出所後、彼の半生を本にしたのがこの『刑務所の王』。
 
もうこのいきさつだけで面白いのですが、全てが本物の迫力に溢れ、ちょっとした描写や服役者が使う隠語・符牒ひとつ取っても圧倒的リアリティで読み手に迫ってきます。
 
将来を嘱望されるアメフト選手だったハープが、理不尽な経緯で犯罪者として刑務所行きになる悲劇。ブラック・パワーの台頭による黒人受刑者たちとの人種的緊張、刑務官の横暴、チャールズ・マンソンの獄中の様子、犯罪者から小説家になったエドワード・バンカー(以前、彼の作品『ドッグ・イート・ドッグ』を読みましたが本物の迫力でした)との親交など、一人の男の数奇な半生としても、アメリカのもうひとつの年代記としても読むことが出来ます。
 
とにかくこの主人公ジョージ・ハープのどんな相手にも屈することなく、己の肉体と知恵で暴力の世界を渡っていくカッコよさは小説のようです。
筋トレを欠かさず、読書家で知性と教養がありながら並外れた度胸もある。
刑務所側が持て余して、たらい回しにする程問題視される一方、仁義を重んじ、紳士的な態度を持って接してくる人間には、あくまでも紳士的態度で臨む。
そんな裏世界のヒーローと元エリートサラリーマンの作者が親交を持つというのも『釣りバカ日誌』的で一種、ファンタジーのようです。
また組織論や「老い」という普遍のテーマまで見えてくるときたもんです。
読み終えるのが寂しく感じるほどでした。
 
絶版なのか、地元の本屋で本書を見つけることは出来ませんでした。
それゆえ偶然、本書を手元に置けたことは、ある意味「縁」だと思います。
 
興味のある方は是非ご一読を。
ネットでなら入手可能のようです。
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2008/07/18 23:00 | Comments(0) | TrackBack() |

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